住宅リノベ・インテリアデザインの手順をまるごと解説 #59
ノリノリで書いていたらかなりマニアックな内容になってしまった。

こんばんは、早です!
怒涛だった1月、あっという間に最終日です。
前回のニュースレターで、会社に入ってから初めてのお客様へのリノベプラン提案をしたということを書きました。
その結果……
記念すべき初の設計申し込みをいただきました!
わーいやったー!!
しかも、なんとお客様は私のインターネットでの発信をウォッチしてくださっていた読者さまでした。そして、前職であるIT・メディア関連での繋がりもある方という……!
ここまでの活動もキャリアも、きちんと繋がっていくんだなぁとなんだか感慨深いです。
そして何よりも、私自身「これは絶対に素敵になるはず!」とワクワクしたデザインを、実際に作って住んでいただける、というのが楽しみで楽しみで。
設計の仕事としてはここからが本番ではありますし、会社としての施工の体制や社長のバックアップありきということは自覚しつつも、まずは「自分が考えたものが、複数社比較検討した結果として選んでいただける」というのは少しこの先やっていくための自信になりました。
さて今回は、リノベーションのインテリアデザインをするにあたり、頭の中でどんな手順を踏んでいるのか? という今の時点の考え方をここらで一度言語化してみたいと思います。
まだまだ修行中の身なので、未熟なところは多々あると思いますが、後々あの時こうだったなーと振り返る材料として残しておく意味も兼ねて。
リノベや注文住宅など、いつか自分の好きな家づくりをしたいな、という方は、実践的なやり方を自分でなんとなくでも知っているときっと役に立つはずです。もちろん、リノベに限らないインテリアコーディネートにも応用できる考え方だと思うので、ぜひリノベの予定がない方も参考にしてみてください。
最初に言っておくと、かなりマニアックで細かい内容になってしまいました。そして久しぶりにかなり長いです。誰に向かって書いているのかもはやわかりませんが、興味のある方はどうぞ。
リノベデザイン作成の全体の流れは以下のような感じ。
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物件の調査・採寸
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既存図面起こし
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イメージ収集
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平面でのざっくりとした空間の使い方の検討
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3Dでの確認・調整
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平面図の仕上げ
便宜上1~6とナンバー振っていますが、体感的には3以降は同時進行で行ったり来たりしながら考えていくイメージです。
では順番にいってみましょう。
①物件の現地調査・採寸
まずは何よりも現場が大事、ということで、最初に物件の調査をします。
「寸法感覚」というのが建築のデザインではものすごく重要で、これは私が約4年前に今の自宅のリノベをしたときにまったく持っていなかった観点でした。
その後いくつもの物件の間取りやデサインを(趣味で)検討してみた結果、既存の空間の中にいかに無駄なく美しいデザインを入れ込めるかは、どれだけシビアな寸法感覚をもっているかにかかっている、ということを実感するようになりました。(今の我が家は見た目の好みを重視していて寸法についてわりと無頓着だったので、けっこう余白が多いのが反省点……。)
「既存のお部屋を作り変える」という元々制約の大きいリノベデザインという分野、その中でもスペースに余裕のない都心部の物件ではなおさらサイズは大事になります。
そこで、最初にやることとして、設計する物件の現地調査をして、ありとあらゆる寸法を測ります。
計測にはこういう赤外線で距離が測れるツールを使うとサクサク測れて便利。(社長が使っているのを見て、同じものを購入)
採寸と同時に、配管経路や換気のスリーブ位置、既存の給湯器など器具の種類や形状、その他設計に必要な情報を集めます。
また、お部屋のいろいろな写真を撮っておくのはもちろんのこと、動画で全体を残しておくと「あれ? あそこどうなってたっけ?」という時に確認ができるので、忘れずに撮っておきます。
②既存図面起こし
これらの調査の情報を元に、既存図面を起こしていきます。
設計用のソフトを使って駆体→間仕切り壁・収納→建具→設備・小物といった順番で描いていきます。このへんは建築図面の描き方の本を読んだりしつつ、実際の過去事例を見ながら学びました。(まだまだ勉強中)

私が作成した我が家の住み替え物件の既存図はこんな感じです。
この既存図面がすべてのデザインのベースになります。
なお、実際の物件の調査に行けず正確なサイズがわからない場合でも、不動産屋がSUUMOなどの販売サイトに載せている図面である程度のデザインを検討することもできます。
私の妄想デザインはだいたい売出中の物件を元にしており、現地調査ができないので、このやり方で作っていました。せっかくなのでこのやり方もちょっと解説。
販売図面から物件のだいたいの寸法を逆算する
物件の図面はきちんと作られているものなら実際の縮尺を反映しているので、どこか基準になる場所のサイズがわかれば他の部分の寸法を割り出すことができます。
私のやり方では、まずは既存の図面をダウンロードし、それをiPadのProcreateにアップロードして、描画ガイドを利用しておよその寸法を把握していました。描画ガイドは紙の上にグリッド状のガイド線を出してくれる機能です。
これを300mm×300mmのサイズとして調整し、既存図面に重ねて作図の目安にします。

1マスを30cm角として、既存図面に重ねてみています。販売資料の面積と図面上の面積がだいたいあっていれば、OK
お部屋のつくりにはいくつか定番のサイズ感というのがあるので、それを参考にグリッドを配置するとおおまかな寸法を把握することができます。
参考に使える寸法は例えば以下のようなもの。
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玄関扉: 800mm〜850mm
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キッチン作業台の奥行き: 650mm
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トイレの横幅750mm~800mm
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お風呂のサイズ: 1416=1400mm×1600mm、1317=1300mm×1700mmなど(※物件情報にこのお風呂サイズが記載されている場合は、そこを起点に全体のサイズを割り出せる)
載っている図面が不正確な場合もあるのであくまで目安ではありますが、なんのガイドもない紙にフリーハンドで描くよりは実際の寸法をイメージしやすくなるはず。
これはリノベに限らず、お部屋にインテリアを配置するときにもおすすめのやり方です。
③イメージ収集
図面起こしと平行して、デザインのイメージに使えそうな画像などの資料を集めていきます。
と言っても、私は普段からPinterestで息をするようにイメージ画像を収集しているので、その中からヒアリングしたお客様の好みや自分が作りたいものに合わせて、あの感じが使えそう、などと引っ張ってくる感じです。

私が集めて分類しているPinterestのボードは誰でも見ることができるので、ぜひ参考にしてみてください。
④手描きでざっくりとした空間の使い方を検討
既存の図面が仕上がり、だいたいの「リノベの箱」が把握できたら、その上に重ねる形で新しいデザインを検討していきます。
この時も私はまずiPadのProcreateで手描きの検討から始めています。
考え方としては、だいたいこういう順番。