「光の入らない暗い部屋」を居心地よくコーディネートするには #33

暗い部屋を明るくするためには「白い壁」にすると良い……よく聞くアドバイスですが、それって本当に?
早[SAKI] 2023.11.26
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さてさて、だいぶ前になりますが、以前マシュマロでこんなご質問をいただいていました。

いつかニュースレターで書きます、と答えながらもすっかり時間が経ってしまっていたのですが、やっと回答してみたいと思います。

光のあまり入らない部屋は暗い印象になってしまうので嫌、という声はよく聞きます。物件検索サイトでも2面採光などの窓が多い部屋は優良物件として推されていることが多いですし、確かに明るい部屋は気持ち良いものです。

完全に印象ですが、日本の家は「窓をつけるのが好き」な傾向にあると思っていて、とにかくつけられるだけ窓を大きくたくさんつけるのがいい部屋、みたいな考え方がどこかにあるような気がしています。

ひとつひとつの家の専有面積が狭くて、閉塞感が出がちだからこそ、窓で外の空気や光を取り込もう、ってことなんだと思うのですが……最近、窓が多すぎる・大きすぎることは良いことばかりでもないかも? とも感じています。

窓がありすぎることの3問題 プライバシー・紫外線・美観

窓がありすぎることで発生する問題は主に3つあります。

まずひとつは、プライバシーの問題。

もうひとつは、紫外線によるダメージ。

最後に美観の問題です。

窓のプライバシーと紫外線問題

当たり前ですが、窓が多くて開放的 = 外からも部屋の中がよく見えるということ。

せっかく大きな窓があっても、外からの視線が気になって四六時中カーテンやブラインドを閉めて生活するようなことになったら本末転倒ですよね。

そしてもうひとつ、窓が多くて光がたくさん入る=紫外線が部屋の中に入ってくる、ということになります。

太陽の光は適量なら気持ちのいいものですが、長時間繰り返し当たっていると、人はもちろん家具などのインテリアにもダメージがあります。

特に本などの紙ものやラグなどの布へのダメージは気になるもので、あっという間に焼けて変色してしまったり。我が家でもうっかり日が当たる位置に本棚を取り付けてしまい、さらにカーテンもつけていなかったことからそこに置いていた漫画の表紙が色褪せてしまいました……。(反省して今はレースカーテンをつけています)

ということで、視線と光のコントロールは大きな窓の家で快適に住まうには重要なポイントといえるでしょう。

広大な敷地があってプライベートな庭があるとか、方角や日除けを十分に検討した自由な構造で家が建てられるとかでない限り、日本の狭い住宅地であればなおさら窓を大きく取ることで外との関係が難しくなることは多いかもしれません。

窓の位置や形に美意識なさすぎ問題

そして最後に美観の問題ですが、窓は部屋の中からも、家の外観でも、良くも悪くも目線を集める強い存在です。しかしやたらめったら変な位置に(例えば壁の端っこといったバランスの悪い場所)変な形の窓(謎に細長いとか)があることで、室内のインテリアも外観の美観も損ねているケースが多いように思います。

中途半端な場所に窓があるばかりに適切な位置に家具を置けなかったり、壁の装飾の邪魔をしたりすることも。

そして窓とカーテンの回でもさんざん書きましたけど、日本のアルミサッシの窓、とにかくデザイン的にイケてない。これがたくさん付くほどに、部屋のインテリアが難しくなっていくという悲しい現実が……。

欧米の家は実は窓が少ないことも多い

これまでに読んだ本に書いてあったことや、インターネットにある写真を観察してきた結果を総合すると、ヨーロッパ、特にイギリスの家なんかはあまり窓が大きくないし家の中もあまり明るくないことが多いように思います。

欧米の家がツーバイフォー工法という壁で重量を支える作り方が主流のために、あまり大きい窓が付けられない、という理由もあるようです。日本は柱と梁で支えるラーメン構造が主流なので、比較的自由な位置と大きさで窓が作れてしまうのかもしれません。

でも、こういった違いはそういう構造上の理由ばかりでもなさそうにも思います。欧米の家にはただ「明るければいい」「窓が大きいほうがよい」というような単純な考え方ではない、部屋と外の光との関係の多様性が家づくりの考え方の根本にあるような気がします。

(日本の家も、もちろん建築士さんが建てるようなお家はこのように多くのことを考えられた家になっているとは思います。)

北欧の国々だって、ほとんど日が昇らない暗い時期も長いわけですが、言わずもがなこれらの国は世界一のインテリアデザイン大国ですよね。

ということで、前談がかなり長くなってしまいましたが、光の入り方は関係ない、とまでは言わないものの、明るい部屋はあくまでてもいろいろとあるいい部屋の種類のうちのひとつ、くらいに考えていたほうがいいように思います。

暗い部屋で明るい部屋用のインテリアを無理やり頑張るよりは、暗い部屋は暗い部屋なりの作り方を意識していくほうが満足度の高い空間づくりになるはず。

暗い部屋こそ濃い色の壁を

「部屋が暗いから、白い壁にして少しでも明るく見せましょう。」

こういうアドバイスは世の中にあふれていますが、本当にそれが正解でしょうか? 個人的には、広く・明るくみせるために選んだはずの「白い壁」が部屋の良さを邪魔していることも多いように思います。

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続きは、3847文字あります。
  • 色づかいは強めのコントラストを意識
  • 家具はディティールを少なめに
  • マシュマロのご紹介

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