日本のつらい窓まわり、そしてカーテンのこと #11

新しい家に引っ越した時に、多くの人がまずはじめに買おうとするもの。

それはカーテンではないでしょうか。

だけど……カーテン選びから部屋づくりをはじめることは、個人的にはあまりおすすめできません。海外みたいな部屋を目指す上で、カーテンは実はもっとも難しいアイテムだから……。
早[SAKI] 2023.06.10
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さて本日は、窓とカーテンがテーマです。

みなさん、カーテン(もしくはブラインドなどの窓まわりのアイテム)を決める時、重要なことはなんだと思いますか?

サイズ?

色?

素材?

それももちろん超大事ですが、違います!!

カーテン選びは、布選びにあらず。

布だけ良くても本当はだめで、「窓辺全体のデザイン」を考えること。これが一番重要です。

まあでも、そうは言ってもどうすればいいのかよくわかんないですよね。

それに、日本の家で窓辺全体をいい感じにするのは、いろいろ難しい現実があります。まずはそのへんの前提条件の整理からスタートして、なんとか日本でマシな窓辺をつくるにはどうしたらいいのかを考えてまいりましょう。

アルミサッシ、見た目にも健康にも悪い

もう10年くらいずーーーーっと言い続けているのですが。アルミサッシ、君が諸悪の根源のひとつなんだ。

窓がアルミサッシであるだけで、「あー日本の家だなー」感が出てしまう。

あぁ日本の窓〜〜〜〜

あぁ日本の窓〜〜〜〜

欧米などは樹脂や木製のサッシが主流で、地域によっては断熱の観点でアルミサッシの使用が禁止されているところもあるそうです。デザイン的にも、格子や装飾のついた窓枠など、窓そのものが素敵なものが多い。

対して、日本の窓は80%以上が無機質アルミサッシ。なんでよ???!!

私は建築業界のプロではないのでこのあたりの問題に詳しくはないのですが、おそらくコストとか業界の流通の習慣とかいろいろあるのでしょう。それはわかる。でもねぇ、やっぱりねぇ、消費者目線で言うとさぁ……ダサいのは嫌なんじゃ……。

ちなみに、インテリア界隈にはこれまでもずっとアルミサッシを憎んでいる勢がたくさんいたのですが、最近それがインテリアオタクの外側の一般の人たちまで伝わって盛り上がってきているなーと感じます。

そのきっかけは何かというと、テレビ番組です。

今年の1月に、NHKクローズアップ現代で報道されたんですね。

日本の寒い家は健康に悪い。寒い原因は、アルミサッシ。

ほんそれな……。

アルミサッシはデザイン性のみならず、機能としてもけっこうやばい。それがやっと問題として取り上げられるようになったのは喜ばしいことだとは思います。

日本、機能の問題になった瞬間やる気出すんだよなぁ。

さらに、「先進的窓リノベ事業」という、窓の断熱工事をすると補助金が出るという制度も現在行われています。寒い家、マジで命に関わるのでかなり本気の対策です。

ここで補助対象になる内窓は意外とバリエーションが豊富で、デザイン性の優れた木製サッシなども探せばありました。

うちもこの制度を利用してリビングの内窓つけられないかなーとちょっと検討しているところです。

少しずつではあるものの、窓についての意識は変わりつつあります。がんばろう。

日本の部屋の梁と窓とカーテンレール

日本の家のつくり方は、柱と梁で建物を支える構造が一般的。部屋の中にどうしても梁が出ます。

そのかわりに間取り変更の時には壁を動かすことができるというメリットもあるけど、窓のデザインという意味では難しいことが多いのです。

窓の上に梁が出ているので、窓の高さがどうしても低くなったり、変なバランスのサイズになったりします。

そしてその構造的な問題で、天井の高い位置からカーテンを吊るようなデザインも難しい。

さらに、窓の上の壁にはエアコンが取り付けられていることも多く、機能としては大切なものですが、視覚的には邪魔になることも……。

というように、窓まわりに雑多な要素が多くて自由度が低いことが日本の窓の特徴です。えーーん。

引っ越してすぐ、まだ何もつけていない窓。窓の上に梁が出ているため高さが中途半端だし、何よりエアコンの存在感よ……。

引っ越してすぐ、まだ何もつけていない窓。窓の上に梁が出ているため高さが中途半端だし、何よりエアコンの存在感よ……。

そして、窓上ぴったりの高さに、ぴょんと飛び出たプラスチックやアルミのレール。

ただでさえ窓が低かったり梁が邪魔だったりアルミサッシだったりでつらいことになっている窓まわりに、最後のパンチがこのカーテンレールです。

これがついている時点で、かけるカーテンうんぬん以前の問題で、残念ながら素敵にすることがかなり難しくなります……。

そもそも、海外の住宅の窓を観察した時に、日本でよく見るようなレールタイプのものにカーテンがかかっていることはあまり多くありません。

もちろん0ではないのですが、その場合もレールの部分がきちんと天井に埋まって隠れていて、無機質なものがむき出しの状態になっていることはまずない。

また、日本ではよく、レールを隠すためのカーテンボックスがついていることもあります。これもレールむき出しよりはよっぽどいいものの、窓上ぎりぎりの高さにぴょんと飛び出ていることが多くて、やはりちょっと唐突な印象。海外っぽさという意味では適したデザインではなさそうです。

海外の窓まわりのデザイン

海外の家の多くの窓辺は、窓より最低でも15~20cm以上上の高い位置に、窓の横幅より大きなサイズのカーテンポールがついています。

カーテンポールとは、日本でよく見るレール状のものではなく、棒に直接カーテンやリングを通して布を吊るタイプのものですね。そして、このカーテンポールの素材やデザインもたいへん豊富です。

まとめると、海外っぽい窓辺とは

  • サッシが樹脂や木製で、デザインがいい

  • 窓の上やまわりに余計なものがなくすっきりしていて、デザインがいい

  • カーテンポールの位置が高く、横幅が大きく、デザインがいい

はい。結局は窓自体のデザインの問題なら、元も子もなくない? って気がしてきました。

ここまで来てやっと、じゃあカーテンとかどうしようか? という話になるわけですね。

窓のことを考えると、家そのものの設備の圧倒的なポテンシャルの差に泣けてきちゃう……。

「存在感を消す」ためのコーディネート

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続きは、3803文字あります。
  • ぶ厚いドレープカーテンより、軽やかなレースカーテン
  • 海外の多様なカーテンデザイン
  • フラット×シンプルな自然素材がベスト
  • ブラインドやシャッターは素材感に注意
  • 窓の存在感を上書きする、窓際の植物の重要性

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