結局、木の色は揃えたほうがいいの? 問題への回答 #20
「おしゃれな部屋をつくりたいと思ったら、部屋の中の木の色は揃えなければいけないの?」
この疑問に対する私の答えは……
つくりたい部屋による!!
まぁそれ言ったらなんでもそうなんだけどね。「これから何を作るのか」がわからないとテクニックも何もないのです。だからまずは何を作るのか? をある程度明確にしないといけません、というのはこのニュースレターでも繰り返しお伝えしている通り。
それは前提の上で、仮に私が提唱している「カラフルモダンポップな海外みたいな部屋」が目指すべきところなのだとしたら、という限定的な話と思って聞いてほしいのですが、そういう意味での答えとしては木の色は揃えなくて大丈夫です。(ちなみにこれは昨年発売した書籍にも書きました)
全体的なバランスが取れていればいいので、木の色だけを取り出して特別気を遣う必要はありません。
でも、「えーー、でもそう言われてもやっぱり気になるんですけど……」という人もいると思います。
そもそも、「全体的なバランス」をどうやって取るのかがわからないから、具体的なポイントとして木の話をしてるのに、木の色は無視でいいとか言われても何したらいいのかわからなくなっちゃいますね。
ということで、今回はなぜ木の色を揃えなくても問題ないのか、揃えなくてもまとまるコーディネートにはどういうやり方があるのか、書籍に書いたものよりもさらに詳しく解説してみたいと思います。
「デザインされたごちゃごちゃ」を目指す
その前に、木の色を揃えなくて大丈夫な部屋って、どんなものなのか、まずはイメージできるように例を探してみたいと思います。
例えば我が家のインテリア。
木、まったく揃っていません!
Pinterestで見つけた画像だとこんなイメージ。
かわいいな〜。
こういった部屋の特徴は以下のような感じ。
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モノがたくさんある
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色使いが豊富
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質感やアイテムタイプも多様なものを揃えているミックスインテリア
デザインされたごちゃごちゃ感、まとまりのある喧騒、みたいな言葉がキーワード。こういう雰囲気のお部屋は、海外では「マキシマリズム」というひとつのスタイルとしても呼ばれていたりします。近年、日本で流行している部屋の色合いをベージュ系で揃えるようなミニマリズムなインテリアとは正反対なタイプですね。
そんなマキシマリズムに近いインテリアを作ろうと思うなら、木の種類をひとつに揃える必要ありません。というか、そもそもある程度アイテムの数が必要なので、現実的にそんなことはほぼ不可能です。
こういった、多数のモノを集めた複雑なコーディネートが必要なインテリアは「センスがないと難しい」と敬遠されてしまいがちです。でも、実はこういったモノの種類が多い部屋の方が細かな違いを厳密に意識しなくてもいいので、作りやすいというのが私のいつもの主張です。
対して、こんなふうに引き合いに出してしまい申し訳ないのですが、日本でよくみるインテリアというとこういった雰囲気でしょうか。(これが悪いってことではなく、タイプが全然違うよねという例ですよ!)
たしかに、一部のインテリア指南で言われるように、木の色はきれいに揃ってまとまっていますね。
でも、最初に写真で挙げたようなインテリアとは完全に別物です。そもそも目指しているものが違うのだから、そのやり方に従っても思ったものにならないのは当然のことでしょう。
そもそも、そこが木目柄である必要はある?
こうやって見比べていると、木の色を合わせるかどうか以前の問題として、まず「木目をどのくらい使うべきか?」ということが重要であることに気づきます。
最初の海外の画像を観察してみると、この日本でよくみる雰囲気のインテリア写真と比較して、圧倒的に木が少ないのがまず大きな特徴としてあります。
もちろんフローリングや椅子の脚、テーブルなどには木が使われているものの、ざっくりした感覚ですが、その分量は半分以下くらいではないでしょうか。そして木が減った分、布、ゴールド・シルバーなどの金属系など他の素材の印象が強くなっています。
日本では「とりあえず無難に木目の家具」という使われ方をすることが非常に多いです。でも実は、木目は良くも悪くも素材感が強調されやすく、視覚的な存在感の強い仕上げです。
例えば同じ木の素材だとしても、表面をペイントで塗りつぶした仕上げなら、元々の素材の特徴はあまり主張しなくなります。しかし木目を活かした仕上げは「あ、これは木だな」とパッと見でわかるので、無難どころか、実際はかなり目立つのですね。
ですから、「木目」とはどこにでも無難に使える素材ではなく、そもそも目立つもので、意図的なデザインとして使うものだ、という認識がまずは必要です。
「とりあえず木目シート」の害
木目柄とは目立つもの。ということは、そもそも見てほしくない場所に木を選んではいけない、というのが原則です。それなのに、たいしてデザイン的には意味のない「木目シート仕上げ」や「とりあえずの木目の家具」が日本の家には多すぎるのです。
木のインテリアが悪目立ちしてダサく感じるとしたら、色を揃えるかどうか、という以前にこの「とりあえずの木目」が悪さをしていないかのチェックが必要です。
ぱっとしない部屋をよく観察してみると、部屋の中で注目してほしくないもの、目立たせたくないものが木目柄になっていることがかなり多いはずです。
その木の家具や設備は、それ自体がときめくものですか?
それとも「とりあえず」や「機能性のみ」で選んだものですか?
前者がYesなら、色が違っていようとなんだろうと、自信を持って使い続けましょう。一時的に浮いて見えても、調和させる方法はちゃんとあります。
もしも後者がYesなら、本当にそこにあるべきものにいずれ交換することを検討するべきかもしれません。
コントラストとリレーションを同時に成り立たせる
では、異なる木の色を違和感なくまとまるためにはどうしたらよいのでしょうか?
そこで意識するのが、今回初めて説明する「コントラスト」と、色のコーディネートの回でも登場した「リレーション」の概念です。
コントラストとは、正反対なものを対比させること。
そして、リレーションは共通点を作って関連させることです。
この2つは、インテリアのテクニックの中でも特に大事な要素なのですが、ここでちょっと疑問に思う事はないでしょうか。
コントラストとリレーション。これって実は、正反対の概念なんですよね。
コントラストを意識するとリレーションできないし、リレーションしようとしたらコントラストがなくなるのでは? って思いませんか。私も最初は思いました。
でも、実はそんな事はないんです!
なかなか慣れていないと難しい考え方かもしれませんが、部屋の中のモノをリレーションしながら、同時にコントラストを作ることは十分に可能です。
ということで、どこをどうリレーションさせて、同時にどこをどうやってコントラストをつくるのか、なるべく具体例を見ながら説明してみます。
このあたりは私もかなり感覚に頼っている部分が大きくて、かなり抽象的な話になってしまったので上手に説明できているのかまだ自信がないのですが……。
ひとつの考え方の参考としてご覧ください。
コントラストもリレーションもない組み合わせ=違和感
まず、モノの組み合わせをパッとみたときに、視覚的な違和感を感じる時というのは、どういう状態なのでしょう。
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- 間に異素材やまったく違う色をはさむ
- どこまでを「ひとつ」と考えるか
- 部屋全体でリレーションを考える
- まとめ:いろんな要素を持つおしゃれなモノがたくさん集まると、なんかまとまる(かも)
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