オタク趣味とおしゃれを両立させるインテリアの秘訣とは?「部屋づくりは自己分析」ゲスト:カジキマグロさん

「オタク趣味部屋」という切り口で本格インテリア理論をおもしろおかしく教えてくれるブログ、『様子のおかしいインテリア店』を運営するカジキマグロさんとお話をしました。
早[SAKI] 2023.07.29
誰でも

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こんにちは、早[SAKI]です。

今週末は、家族で金沢に来ています。

朝食後にラウンジでかわいいクリームソーダを飲みながらニュースレターの仕上げ作業中。

0歳児連れ旅行かつ猛暑日ということもあって、あまり詰め込まずに余裕のあるスケジュールにしています。旅行に来てあれこれ観光するのも楽しいけれど、ホテルステイ中心のゆったりした滞在もいいですね。

さて本日は、本来のペースならサポートメンバー限定記事のタイミングだったのですが、7月は土曜日が5回あり1回分多くなるということで、ひとつ間に挟んでどなたでもみれる記事でお届けします。

今回は以前のfavvyさんに続き、素敵なゲストをお呼びしました!

本日のゲスト:カジキマグロ @kajikissa さん

オタク趣味部屋という切り口で本格インテリア理論をおもしろおかしく最高にわかりやすく語るブログ、『様子のおかしいインテリア店』を運営。

毎記事、膨大なリサーチに基づく情報量が凄まじくどれも素晴らしいのですが、私の推し記事はこのあたり。

トレンドって言うけどそれってそもそもなんなのよ、っていう成り立ちのところから教えてくれる貴重な記事。

最近のミニマルインテリアの流行に至るまでの流れがすごくよくわかります。

私がインテリアにハマりはじめた10年ほど前の時代の描写もリアルで、たしかにその頃まじで情報がカフェ風しかなく苦戦して、インダストリアルに移行しようとしてたわ……と納得感でうなずきすぎて首がもげそう。

ミニマリズムって本当の理解をされていないよね、って言っている記事。私も極端なタイプのミニマリストの部屋にはちょっと反発心を覚えていたけど、本当のミニマリズムとは「究極のちょうどいい」を目指すものであり、真に自分に必要なものを考えるという意味ではまったく私のやりたいインテリアと喧嘩する思想ではないんですよね。

世の中には圧倒的に『持ちすぎ』の人が多いから、どうしても『足す』作業よりも『減らす』作業の方が目立っちゃうだけなんですよね。
『ベスト以外は許さない』んじゃなくて、『よりベターを追求し続ける』姿勢が大事なんですよ。
理想って、目指さないと永遠に近づけないですから。

は〜〜ほんそれですよね、カジマグ先生!!

「オタク」というワードからはすぐには想像できないインテリアの金言がびゅんびゅん飛び出す最高のブログ『様子のおかしいインテリア店』の執筆者、カジキさん。

発信はたくさんされているものの、ご本人についてのストーリーはあまり明らかにされておらず、いったいどんな人なの?? ってずっと気になっていたので、今回お誘いしてお話を聞いてきました。

カジキさんの圧倒的な表現力に乗せられて私の方がしゃべっているパートも多く(しゃべりすぎ)、またもや1万字超えの文量で殴るコンテンツにしてしまって反省はあるのですが……。

でもこのニュースレター読んでいるみなさんならそのまま受け取れるよね! ってことで圧強めなままお届けします。

言語化力が突き抜けたインテリア情報の案内人

早:まずは、カジキさんって、何者なの!? という話からしたいんですけれども……。あの膨大なインテリア知識はどこからくるのでしょう。

カジキ:僕は……普通の人です(笑)。

ブログとかに偉そうなことも書いていますが、自分で発明したテクニックみたいなものは全然ないんです。おしゃれな仕事をしている人でもない。

「インテリアの情報って、書いてあることふわふわしてるよね」みたいなこともけっこう言っちゃうんですけど、プロの方が長年いろんな部屋を作ってきた経験とノウハウが、そのふわふわした中に含まれているんじゃないかなと思っていて。それをなんとか解読できないかなって頑張ってるだけなんです。案内人というか。

この本にはこういうことが書いてあったよ、とか、あの人が言っていたこういうテクニックがあるよ、というふうに。

早:「通訳」がめちゃうまい人だなという印象はあります。毎回記事をシェアしてくださる時も、もう言語化力が高すぎて、すごいなって。「それそれ、それが言いたかったんだよ〜!」ってなるようなものすごい的確な要約をしてくれる。

カジキ:それは早さんのニュースレターを読んで、これはいいなっていう感覚が先にあって、それをどう表現したら伝えられるんだろう、って順番なので最初に書いてあるものがすごいんですよ。無から言葉は生まれないので。

早:ありがとうございます。そういうふうに言ってくださるからちょっと調子に乗っちゃいますね。ほんとに言葉にするのがうまいな〜。

センスを磨くために必要な泥臭い努力を、ぼかさずに書く

早:私がカジキさんを知ったのは、ネットでインテリアの情報を検索した時にブログ記事が出てきて、「この超詳しく書いている人はなんなんだ、すごい」って思ったのが最初でした。私のことはどこから知ってくださったんですか?

カジキ:僕はたしか、SNSのおすすめでnoteが流れてきたのを見たのが最初だったと思います。「ふうんインテリアか」ってちょっと見たら、コピペっぽくない自分の言葉で書かれた文章だったから、おっなんだこれはって思って。

で、しっかり読んでみようかな、って見たら、横のスクロールバーがめっっっっちゃ小さかった(笑)。えっこの記事のこの話、そんなに続くの? ってびっくりして、それで覚えたのがファーストコンタクトでした。

早:あーーあのインテリアのスタイルについての1万字のnoteかな。あれは我ながら長いなって思いながら書きましたね(笑)。でもあそこから全部繋がってるので、書いてよかった。

カジキ:でも、完全にファンになったのは書籍ですね。

ちょっと悪口みたいになっちゃいますけど、よくありがちなインテリアの情報って、何ていうか、都合のいいことが書いてあるんですよ。これ買えばおしゃれになるとか、このテクニックだけで部屋があか抜けるとか。すごく簡単にできそうな甘い言葉がいっぱい書いてある。

でも、早さんの本開いてみたら、まず「モノをちゃんと見ろ」ってことから始まって。「お前ら何も見てない。見てると思ってる? いやいや見えてないぞ」っていきなり厳しいこと言ってくる。

ちゃんと見えるようにならないといけない、そのために次は「自分で資料集めろ」「その集めた資料を見て特徴を言語化していって、それに向かって自力で努力しろ」ってまた厳しくて、しかも「全部いきなりうまくいくわけないからトライアンドエラーしながら何年もかけて進化させろ」って……。

いやもう、本当その通りだと思うんですよ!

でもこれちゃんと言ってくれる人、なかなかいないよなと。普通、センスはいらないとか、努力も必要ないとか、言いたくなりますよね。

でも、そうではなくて、センスや努力をどうやって頑張って積み重ねていくのかっていう一番泥臭いところがモロに書いてあって、この人すごいなぁと思って。ああこれは人様におすすめして大丈夫な方だなって、あの本読んだ時に衝撃だったんです。

この本は、真面目に何回も読み返しながらこの通りにやっていけば本当におしゃれになれるやつだ、無責任じゃない本だって感動しました。

早:いや〜〜嬉しいな。今回、カジキさんについて深掘りして聞いてやろうと思ってきたのに、なんか逆にすごく私について言ってもらってしまった……。ありがとうございます。

言ってもらったついでに、本についてもうちょっと話しちゃいますね。

あの本を書いた時、最初はもっとわかりやすくて、すぐにできるようなことを書かないといけないのかな、って思っていたんです。でもいろいろ考えたら、冒頭の自分の理想を分析するところ、あの手順を踏まない限りは私がやってる感じの部屋にはたどり着かないだろうということになりました。

だから、わかりやすくこういうふうにしたら今すぐ変わるよ、みたいなものは書けないなって。もともと編集者さんもそういうインスタントなものを求めていたわけではなくて、本当の本当にやってきたことを書いてくださいってことだったので、私が勝手に身構えて右往左往したんですけど。

それで、改めて私は何から始めたんだっけな、と考えたらああいう書き出しになりました。泥臭いしかなりめんどくさくて時間もかかるから、きっと万人受けはしないんだけど、本当に興味がある人には見つけてもらえるといいな、という感じでいたから。

favvyさんに会えた時も思ったけど、今日、また「見つけてもらえた!」って思いました。嬉しいです。

カジキ:僕、相手に伝わってるかってところまで含めて情報発信やと思っているんです。言うだけならいくらでも言えるでしょうけど、それを聞いた人がちゃんと同じ道を辿って再現できるのかっていうのをきちんと意識してくれはる方がやっぱ少ないなぁと。

だから早さんの本の、マニアックかもしれないけど、これを言っておかないとできないだろうから書いた、っていうああいうのがすごい嬉しいんですよ。なかなか無いから、発見したときは見つけたぞっていう感じになりますね。

ラノベ投稿からインテリアブロガーへ

早:ありがとうございます。私はカジキさんこそものすごく貴重な存在だと思っているので、今度こそカジキさんについて聞いていきたいのですが、まずブログ『様子のおかしいインテリア店』はどうしてはじめたんですか?

カジキ:僕は、もともとライトノベルっていうのを趣味で書いていまして。

ネットに小説をあげて、読んでもらった人にコメントをもらうっていうのをやっていて、そこそこいろんな方に読んでもらえて楽しんでいたんです。でも、だんだんランキング勝負みたいなものが流行ってきて、数字を追いかけることに疲れてしまった。

夢中でやっているうちに、読んで喜んでもらいたいのか、数字がほしいのかわかんなくなってきて、怖いなと思ってそっちをいったん休憩することにしたんです。じゃあ次何しようかなって時に、ブログだったらマイペースに文章を書くことを楽しめるかもってなんとなくスタートしました。

インテリアがもともと好きだったので、仲間内の、それこそオタク趣味とかがある人にも伝わるように書きたいなっていうのがあって、軽い気持ちで始めましたね。

早:なるほど。小説でまとまった長い文章を書いていた人だからこの言語化力なんですね。

カジキ:量はめちゃくちゃ書きましたね。

早:小説を投稿するサイトって、一記事どのくらいの長さで書くんですか?

カジキ:自由ではあるんですが、それなりに満足して読んでもらえて続きが気になるボリュームにしないといけないので……どのくらいだったかな、何千文字くらいはあったかな。

早:それを定期的に書いていくんだ。

カジキ:そう、毎日アップするんです。

早:毎日!?

カジキ:毎日区切りのつくところまで書いてアップしていくので、必死でしたね。

早:毎日書いて公開するって本当にすごい。それで鍛えていたんですね。

カジキ:文章力は置いておいて、いっぱい書くっていうことはまあできるだろう、って甘く見てました(笑)。

早:ブログでインテリアのことを書き始めてみて、どうでしたか?

カジキ:書くこと自体はいくらでもできるんですけど、誰にも読んでもらえないって時期がめちゃくちゃ長かったですねぇ。

早:あ〜〜わかる。ブログは見つけてもらうのが難しいですよね。

私もブログ自体は大学生から書いていて、2011年くらいから、独学でつくっていた社交ダンスドレスの作り方ブログをやってました。

カジキ:へーー! いきなりインテリアじゃなくて、そっちが先やったんですね。

早:自分で好き勝手に試してつくってみて、そこでわかったやり方を周りに教えるために書く、っていうのをずっとやってるんですよね。そういうのが合ってるんだと思います。

ドレスのことを家でずっとやっていたら自宅の環境にも興味が湧いてきて、ちょっとずつそっちに移行してきてnoteやニュースレターに繋がった感じです。

でもほんとニッチなブログは特に、規模という意味ではなかなか最初は届かないですよね。

カジキ:そうですね。もちろん、初期の頃から検索でたどり着いて応援してくださった方もいて、それは本当に心の支えになるしありがたいんですけど、人数規模で言うとどうしてもコンパクトでしたね。

早:そもそものインテリア需要がそんなに大きくない上に、検索して調べてくれて、しかもその中で好みの系統で、さらに語り口を気に入ってくれる人っていうと、かなり絞られてきちゃいますよね。

ただニッチだと、規模は少ないんだけど、やっぱり刺さった人は絶対見てくれる気はしています。カジキさんのブログはほんと、濃すぎて刺さった人はちょっと抜けられないんだろうなって思います。

オタク部屋をおしゃれにするには、おしゃれの側を学ぶしかない

カジキ:僕のブログはラノベから始まったこともあって、アニメとかのオタク趣味がある人に向けたものだし、最初の数記事からオタクグッズとかアニメ絵も載せてたので、刺さる人には刺さるけど、そういうのはちょっとっていう人にとっては怪しく見えるだろうなと(笑)。

だから、どうして早さんみたいな人が気づいてくれたんだろう、ってずっと不思議で。

早:私、まずもともとがオタクだったんですよ。少年マンガのオタク。小学生〜中高生くらいかな。お絵描き掲示板に入り浸ってPCでイラスト描いて、ファンロードとかに投稿して、ネットで夢小説読んでた感じの。

大学で競技ダンス(※社交ダンスの競技会)を始めた時に時間がなくなってオタ抜けしちゃったので連続性はあんまりないんですけど、今もジャンプデジタル版は毎週購読してるし漫画だけはけっこう読んでます。あと夫もかなりのコンテンツオタクです。

カジキ:おお、なるほど。だから僕のブログをないがしろにしないでくれるんですね(笑)。

早:カジキさんのブログ、「オタク趣味部屋」っていうふうに掲げているから、 インテリアのことを書いてるけど、オタクの方がメインでそんなにインテリア側はガチではないのかな? ってパッと見ただけだと思うじゃないですか。

でも、ブログの中身見たら、インテリアに超絶、ガチ。知識量や内容の密度がかなりすごい。オタク趣味と理論派おしゃれインテリア情報、って面白すぎるハイブリッドだなって思いました。こんなところが組み合わさってること、ある!? って。

カジキ:その「実はガチ」の部分わかってもらえるの、めちゃくちゃ嬉しいです。

オタクが部屋をおしゃれにする方法について、考えれば考えるほど思うんですけど、結局、特別な方法ってないんです。

オタク趣味がある人がおしゃれな部屋になりたいなっていう時に、いちばんやっちゃう間違いが、「オタクの先輩の部屋」を参考にしちゃうことなんですよ。僕がそうだったんですけど。

オタクっぽくなくおしゃれに飾りたいって思ったら、やっぱりおしゃれの世界を参考にするしかないはずなんですけど、Googleに「アニメポスター 飾り方」みたいに入れてしまう。そうするともう堂々巡りなんですよね。オタクの飾り方にしかたどり着けないので……。

それこそ、ギャラリーウォールとかのテクニックを覚えて、 自分の部屋に応用するっていう順番しかないよねって思います。 だから、僕も缶バッジはこう飾ろうとか、フィギュアやアクリルスタンドをこう飾ろうってブログでいろいろ紹介してるけど、あれも全部インテリアの世界にこんなテクニックがあるから、応用したらこういう風になりますよって向こう側のテクニックの案内をしているんですよね。

おしゃれになる能力をつけて、オタク要素を混ぜるしかない、ってどうしてもなっちゃうんです。けっこう厳しいんですけど。

早:ショートカットできる方法はないってことですね。

カジキ: 海外みたいなインテリアのオタク趣味の部屋を作りたかったら、海外みたいなおしゃれな部屋を作っている人と同じだけ努力と試行錯誤をして、おしゃれな部屋にたどり着いて、そこにオタクの要素を足すしかないんじゃないのって。

だからこそ、早さんのニュースレターや書籍をうちの読者さんにオススメする流れになるんです。こっちの情報にアクセスしてねっていう思いを込めながら。

早:地道に真面目にやるしかないんですね。

おしゃれな部屋ってひとことで言ってもいろいろな系統があると思うんですけど、その中でも日本で情報が多いものだと、いわゆるミニマルなスタイルになりますよね。色をひとつに揃えようとか、モノをとにかく減らそうとか、意識しないとそういうのにアクセスしちゃう。

それを見て、なるほどモノを減らせばいいのか、って真面目にやってスッキリさせて、でもこのグッズたちは好きだし手放せないからってその中に置いたら、もう浮きまくりなんですが!? ってなるみたいな。 そうやって流行りの情報の中だけだとどうしようもなくなっちゃう人多いだろうなって思って。だから、今のミニマルな流行ばかりあることへのカウンターみたいな気持ちが私はけっこうあります。

カジキ:早さんよく「お部屋の中で浮いているものがあったら浮いているものを取り除くんじゃなくて、浮いているものの仲間を足せ」って言うでしょう。あれ、めちゃくちゃいいなと思ってて。

普通のおしゃれなお部屋を作る時にもいいんだけど、趣味人もあれは心強いだろうなぁと思います。本当に理にかなっているというか、おっしゃる通りって思うので、そういうテクニック覚えてもらえると嬉しいなぁ。

早: ちゃんとしたやり方で作れば、オタクの趣味のモノもちゃんと部屋におしゃれな雰囲気のまま馴染んでいくはずなんですよね。

だって海外の部屋の写真、私めちゃくちゃ見てますけど、普通にあったりしますよ。フュギュアとか、イラストとか、おしゃれな雑貨の中によく見ると紛れてることけっこうある。

カジキさんのおしゃれとオタク趣味がしっかり同居した素敵なお部屋

カジキさんのおしゃれとオタク趣味がしっかり同居した素敵なお部屋

部屋づくりには自己分析が絶対に必要

早: 私の読者さんにも、インターネットオタク女性がね、たぶんけっこういるんですよ。

カジキ:インターネットオタク女性とは……?

早: 私が勝手に今呼んだだけなんですけど、インターネットで推し愛を語っている女性たちですね。

劇団雌猫さんという推し活についていろいろな本を出しているグループがあって、そこのひらりささんって方が友達なんですけど。彼女から、部屋をなんとかしたいんだけどどうしたらいい? って相談されて、LINEでこういう感じにしてみたらって簡単にアドバイスしたことがあったんです。

それがすごく良かったから、ってnoteやTwitterで紹介してくれて、そこから彼女のフォロワーさんが私の初期のインテリアの発信を見に来てくれて。その人たちは、オタクをフックにしたコンテンツを見ている人たちなので、やっぱりそれぞれオタクなんですよね。いろいろなオタクがいて、アニメや漫画のオタクもいるし、アイドルや舞台などの3次元のオタクもいる。

そういう人たちから、たとえば「このジャニーズのグッズ、いつも見ていたいんですけどどうしたらいいですか、おしゃれな部屋にするならやっぱりしまわないとダメですか」って聞かれたりするんです。「いや、見て癒やしになるなら、見えるところに飾ったほうがいいですよ、周りのものの色だけ揃えましょう」みたいな話をするんですけど。やっぱりみんな悩んでるんだなって思います。

カジキ:上手にきれいに飾りたいって意思があるだけでもありがたいですね。

早:属性で区切りたいわけじゃないし何目線で語ってるんだって感じなんですけど、近年のオタク女性は美意識高いなぁって思いますね。メイクやファッションも、推しに会うんだからちゃんとしたい、ってすごく研究していたり。部屋にも、推しを飾る場所はおしゃれでなければ、みたいな意識の高さを持ってて、すごいなと思って。

オタクだから、なんでも興味持ったら追求しちゃうんでしょうね。

カジキ:どういう人がオタクかって、「アニメが好きな人」ってことじゃなくて、こだわりが強い人とか、好きになったものを掘りまくる人たちですよね。そういうふうに考えると、インテリアも興味もってもらえたらオタクの性質の人には刺さるんじゃないかなっていうのがある。

早:堀りがいがありますからね。私も最近自分のことインテリアオタクって言ってます。

カジキ: インテリア好きな人はみんなインテリアオタクだと思います。椅子にめちゃくちゃ詳しい人とかいますよね。

早:いますねーー!

もちろん性別でバチッと分けるわけじゃないんだけど、 特に男性でインテリア好きな人って、知識オタというか、うんちく含めて好きな人が多いなって思いますね。

カジキ:男子は、コレクションが好きなんですよね……。女性のオタクの方は、きれいに飾ろうって意思がある方を多く見かける印象なんですけど、男子は本当に集めたがる傾向があるんです。

だから、オタク趣味があっていい部屋作りたいなって思ったら、最初に絶対に自己分析しないといけないんですよね。

好きな物を上手におめかしして飾ってあげたいなぁっていう欲求と、自分のコレクションを一望に並べて、ああ俺はいっぱい所有してるな、愛が大きいな、って眺めたい欲求。すごく近いけど全然別物。

どっちが一般的な正解かっていうことじゃなくて、自分にとってはどっちが幸せなのか最初に決めてからどんな部屋を作るか考えてもらった方がいい

早: 自分にとってのちょうど良さを見つけるってことですね。それはオタクに限らずですねきっと。

部屋のことを考えると、たかが部屋なんだけど、なぜか「人生とは」みたいになっちゃうじゃないですか。私は何を幸せと思って生きているのでしょうか……みたいな大きい話になっちゃう。 それを避けてはいい部屋なんて作れない気がして。

カジキ: そうなんですよ。入り口としてはおしゃれな部屋っていいな、くらいでスタートしても、突き詰めるとどんどん人生とは、ってなってしまうんですよね。

早:それをどうやってカジュアルに伝えるか、っていうのは考えてますね。みんな最初は私たちみたいなオタクじゃないから、いきなり自分で考えたりできないよって思われてしまいそうだし。「誰かにぜんぶ任せて、いい感じにしてほしい」っていう欲求のほうが強いと思うんです。

でも、「本当にそれでいいの!?」って私なんかは思ってしまう。「自分で考えないで人任せにしてたら、そんな都合よくいいものなんかできないよ!?」 って気持ちになっちゃって。そのスパルタが本やニュースレターに出てるんだと思うんですけど(笑)。

欠かせない相方の存在と、動画コンテンツについて

早:カジキさんのブログは、相方との掛け合い形式なのがいいですよね。わからない側の気持ちを代弁してくれる。

カジキ:あれは、モデルにちゃんと実在の人物がいるんですけど、本当にああいうことを言ってくるんですよ。

基本的には本人をイメージしながら僕がベースを作って、あとで変なこと言っていないかチェックしてもらっています。俺の好みはこのキャラじゃないぞとか(笑)。

家具屋さんに一緒に行くと、本当にああいうツッコミをしてきます。それを元に、インテリアオタクじゃない人はこういうところに引っかかるんだろうなとか、これは教えてほしいけどこういうことは言われたくないんだなとか、想像しながら作らせてもらってる感じです。

早:やっぱり、誰か実際の人がいるんだろうなとは思ってました。

今は私もインテリアのオタクだけど、インテリアに詳しくなかった頃の「わからなさ」を思い出させてくれてすごい共感しますね。そうそう、そこまでたどり着くのにすごい苦労したんだよ! って。

カジキ:あれが伝わりやすさの足しになっているなら、本当にあの形にしてよかったです。

早:カジキさんは動画コンテンツもありますよね。あれはどのくらいやっているんですか?

カジキ:ゆっくり解説の動画ですね。めちゃくちゃいいタイミングなんですけど、先日100回目の更新でした。始めてから1年くらいですね。

早:100回、すごい! 動画って大変そうだけど、やっぱりあそこから入ってくる人は多いんですか?

カジキ:そうですね、あれで知ってくれる方のほうが何倍も多いですね。YouTubeを始めてなかったら、ブログ打ち切りになっていました。

早:そうなんだ。始めてくれててよかったです。やっぱりYouTubeがいちばんですか?

カジキ:同じものをいろんな媒体にあげてはいるんですけど、YouTubeがダントツで発見してもらえるなって印象です。

早:あれはブログの内容をそのまま動画に落とし込んで作ってるんですよね。

カジキ:はい、ブログをそのまんま動画バージョンにしてあげていっていますね。僕、元のネタがブログにあるから動画は貼り付けてくだけだろうってかなり甘く見てスタートしたんですけど、これがすごい大変で。

早:どのへんがいちばん苦労していますか?

カジキ:単純な作業量が多いっていうのもあるけど、僕は動画になった時に、ブログの読み心地と変わらないように編集しようっていうのを気をつけてるので、そのあたりを悩みながらやることが多いですね。

早:たしかに、キャラクター性というか、コンテンツの個性は大事ですよね。

カジキ:自分の中では、アクセス数で負けてもブログが本体という気持ちなので、そちらの読者の方がYoutube版を見た時にがっかりさせてしまうのは申し訳ないなぁっていうのがどうしてもあって。こだわってるうちに時間がかかるようになってきてしまった。たぶん、そこまで気を使わなければ半分くらいの時間でできるはずなんですけどね。

自分の言葉で語ること

早:コンテンツをつくることって、やっぱり自分の中にあるそういう地味なこだわりがないと続けられないと思います。

単純にアクセス稼ごうとか、儲かるんじゃないかとかでやれる人もいるかもしれないけど、長く続く人は絶対それだけではやれない。狂気の沙汰なんで、定期更新するっていうのは(笑)。

カジキ:続けるのはめちゃくちゃ大変ですよね。僕は毎日更新の小説から始まっててその土台があるので偶然できるようになっただけですね。

早:いやいやその土台があるのがすごい。私はまじめに始めたのこの4月からで、まだ4ヶ月くらいだから……。

カジキ:毎週のニュースレターはすごいですよ。

早:ありがとうございます。あれは強制的に自分を動かすために毎週書くってことにしたんです。

本を書いて頭の中の考えを一度まとまった文章にしたから、今度はそれをもうちょっと分解して、最新の事例を反映させながらブラッシュアップしていけば、書き続けていけるかも、なんとか頑張れば……って気持ちになったので始めました。

普通は、定期的な発信を続けていた人が人気が出て本になる、って流れが自然な気がするんですけど、なぜか先に本が出ちゃったから、仕方ないやろうって。いまだに、もっと真面目な情報発信をしてきた素敵な人がたくさんいるのに、不真面目にぼちぼちやってた私が本出させてもらってなんかすいません、ってなるんですけど……。

カジキ:こっちとしては本で読めるようにしてもらえてすごく感謝しているんです。自分の試行錯誤を自分の言葉で書いてくれる人は少ないですから。

その言葉自体が究極の真実とかじゃなくてもいいんですよ。その人が本当に考えたことを言ってくれてるんだったら、それはもう新しい手がかりになるので。コピペみたいなことを話すよりも、間違っててもいいからなんでその結論に至ったのかを言ってくれる方が、情報を参考にするときにありがたい

早:いろんな解釈が知りたいですよね。

カジキ:面白く情報発信してくれる方がいると、ああ自分もあんなふうになりたいなって憧れが出てくるので、あの商品ほしいなってなりますよね。

僕も早さんやfavvyさんの写真見ているうちに、だんだん海外っぽいのいいなぁって思ってferm livingのクッション買っちゃいました!

早:いいですね! やっぱりみんながいろんなものを必要としてくれないと、売っているものの選択肢も増えないし、もっと日本のインテリア盛り上がってくれるといいなぁとずっと思ってます。

家そのものも、つるつるで機能重視のものやコスト重視の同じようなリノベばっかり増えて……もうほんとに、ただただ私が嫌なので。そんなの嫌だよ、もっとこっちがいいよ、っていう人が増えてくれないと。世の中のためとか誰かのためとかではまったくなくて、私が嫌!(笑)

業界の中の人間じゃないからこそ、こういうのがほしいよ、こっちのほうが好きだよ、というのが言いやすいんだろうなと思っています。きっとプロにはプロの苦労があるだろうし、見方によっては無責任なのかもしれないですが。

カジキ:どんな立場でも発信してもらえるのはありがたいですよ。見てるとやっぱり真似したくなるものなので、きっとつながっていくと思います。

早:そうですよね。

では時間も残り少ないので、まだまだ話足りないですが今回のところはこのへんで。またぜひ話しましょう! ありがとうございました。

カジキ:ありがとうございました〜!

***

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